バリアフリー

2018年 05月 07日

デザインは自動化の一つ。デザイン思考で見えない手間、負担を減らす。

昨年、一昨年、AI研究をやらせてもらった中で自分の中で培われたAIの定義。大抵の人口知能と呼ばれる実用的なものは「弱いAI」と呼ばれ、人間が考える事、実行できる事を「自動」で代わりにやってくれるレベルのものばかりです。

量や速度、体力において、人間を越えるレベルで「自動」で出来れば、人の手間や負担を減らせる実に便利なツールになりますが、世に出回っているものは人口知能と言えるような「知能的」ではないのです。

それに対して、人口知能プロジェクトで目指していくものは、人間が考えもしない事を考え、行動する高度なものになります。「知能」を伴わなければ、人間の論理に基づいて「自動」で行う程度に過ぎない。と、「自動」程度のものというのの線引きはどこだろうと考えながら、そういえば「デザイン」って古い時代から自動化を実現している実に便利な概念だよなー、と考えていました。

例えば以下の扉、

  • 中央だけデザインが違うし、なんとなく開く扉である事が分かる。
  • ドアノブを知らない人でも、それが開ける為のものと分かる。
  • 「CLOSE」が目に入りやすく、入っちゃいけないのがすぐ分かる。

引き戸も、単調なスタイリングの中で目立つところに窪みを付けて、なんとなくそこを使って開くドアという事も分かります。

もし、分かりにくいデザインのままにすれば、いちいち自動ドアを設るか、扉の前に人が立って「ここは扉になってますよ」「こうやって開けるんですよー」という補足説明がいちいち必要です。ドアマンも実際にいますが、ブランド力ある高級ホテルのおもてなしの役割ですもんね。

とにかく、デザインは説明を自動で行ってくれます。いうなれば説明の自動化です。説明する人も要らなければ、自動ドアのようなコストもいちいち要りません。100%誰でも伝わるわけではありませんが、優れた説明力のあるデザインは世の中に溢れています。

次は、言わずとしれた有名な建築デザイン「バリアフリー」

バリアフリー

段差がない事で、車椅子の人は自力で行き来できる事が分かります。立ち止まって、誰か手伝う人を呼んだり、待たずに移動ができます。電動の車いすである必要もありません。段差で昇降する機械の必要もありません。そして、土足厳禁はここからなんだろうなー、と分かりやすくデザインされてますよね。

「デザイン」という概念がなくても当たり前の事かもしれないですが、凄くないですか?ちょっと工夫するだけで、人手(説明や手伝い)が不要だし、利用者も説明してくれる人がいないか声を掛けて待つなどストレス少なく済むし。そして、高価なハイテク技術を導入しなくても良かったりする。

Webサイトも「自動」寄りの存在ですが、根幹には人と人とのコミュニケーションが存在します。何かの目的に対し、真正面から「機能追加」で解決するのも方法の一つですが、「デザイン」にコストを掛ける事で運用がシンプルになり、数年に渡り関係者の生産性向上に貢献する可能性だってあります。

オンラインショップだけでなく、リアル店舗のサイトだって、どのような流れでサービスが提供されるか分かりやすければ店員の説明負担を減らせる可能性もあります。アクセス方法も、あらゆるシチュエーションに則して用意するだけでも、説明負担を減らせるチャンスがありますし、集客時の「場所が分からない」離脱客を減らせるかもしれません。

デザインといっても、見た目(アート、スタイリング)が良いだけが仕事ではなく、情報を求める相手にしっかり伝わるように構成を考えるのもデザインです。そこには顧客側の視点で考える事が必要なので、見た目を調整すること自体は素人でも現場の感覚があれば貢献できるのが「デザイン」です。

ヒアリングしながら、お客様毎に臨機応変にデザインすれば時間もお金も掛かりますが、長い目で見て「見えない手間と負担を減らす」事に貢献する場合もあります。

もちろん、100%伝わるなんて対面説明でも無理なのに、無人のデザインによる説明では尚更伝わらない可能性は高くなります。でも、1つ1つが効果なくても、いちいち「デザイン思考」で、どうすれば無人でも無説明でも伝わるか試行錯誤するカルチャーが根付けば、事業者にとって重要な資産にもなると思います。

「そうか、伝わらないなー、じゃあこうしてみよう。」1年経てば伝える相手の感性も当然変わりますから、永遠に勉強する姿勢が必要と思います。

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